こんにちは、松村です。

本日は電話営業について話をしたいと思います。

先日、ある証券会社の営業マンから営業の電話がかかってきました。

私は曲がりなりにもFP。

証券会社の営業マンの世話になる必要など、全くありません。

しかし、仕事柄、他人の営業トークを聞くことは大好き。

そこでいつものように何も買う気もないのに営業トークにつきあってみることにしました。

たぶんマニュアルにそってだとは思いますが新人営業マンにしてはまあまあ、流暢に話をされていましたよ。

営業マン

「現在、○○地区を重点的に周らせて頂いております。

松村社長にもご挨拶させて頂ければと思いまして。」

「いや、来てもらったところで株なんてやるお金もないしね。」

営業マン

「いえ、そうおっしゃらずに。

今回はあくまで営業ではありません。

ただ、ご挨拶をさせて頂きたいというだけのことですので。」

「挨拶だけなんてしてもらっても仕方がないし。

そちらもお暇じゃないでしょう?」

営業マン

「チラッとお顔を拝見しにあがるだけでいいんですが。

ダメですか?」

「うん、もっとお金使ってくれそうな人のところに挨拶に行く方がいいよ。」

営業マン

「それではご挨拶にいくことはあきらめます。

その代わりといっては何ですが私どもの方で作らせて頂いた株式投資についてのレポートを送らせて頂いてもいいでしょうか。

無料のレポートではありますが必ず、松村社長にも喜んで頂ける内容になっていますので。」

「うーん、じゃあまあ、一応送っといてもらえますか。」

営業マン

「ありがとうございます!

では念のためお送り先のご住所を確認させて下さい。

・・・・・・・・・・・・・・」
以上のやりとりから気づかれることはありますでしょうか?

少し考えてみて下さい。


実はこの営業マン、最初から私のところに挨拶に来たいなんて思っていません。

あとで確認したところこの証券会社は関東を中心に営業しているようで大阪には支店すらないのです。

そんな証券会社の営業マンがお金になるかどうかの確証もないまま新幹線代を使ってまで私のところに訪ねて来るはずがないですよね。

ではこの営業マンが私に電話をしてきた目的は何だったのでしょうか?

勘の良い方はおわかりになりますよね。

彼は最初から私から無料レポートを送るための許可を取りつけたくて電話をしてきているのです。

「じゃあ、なぜ、最初から無料レポートを送らせてくれと言わないの?」

それは、その方が無料レポートを送るための許可を得やすいことを彼(より正確には彼が読んでいるであろうマニュアルを書いた人)が知っているからです。

人は交渉ごとにおいて相手が先に譲歩してくれるとそのお返しに自分も何らかの譲歩しなければならないと考えるように条件づけられています。

相手が譲歩しているのに自分の方が何の譲歩もしないと自分がものすごく不寛容に感じられてしまうのです。

ここでは営業マンが挨拶に行かないという譲歩をしたその見返りに私は無料レポートを送ってもらうことを受け入れざるを得なくなってしまっています。

これは偶然じゃないですよ。

彼が意図してそうなるように仕向けているわけです。

(ちなみにこの交渉テクニックのことを「ドア・イン・ザ・フェイス」と言います。)

このように、儲かっている会社の電話営業って必ず、それなりの工夫がなされています。

それもそのはず。

電話営業を行う会社にとって電話営業は新規見込み客を獲得するための非常に重要な手段。

目的を達成するために全力で知恵を絞っているはずなんです。

だから、これからは、気が向いた時だけでもいいので、ちょっと時間をとって彼らの営業トークに真剣に耳を傾けるようにしてみて下さい。

必ず、「うまいなあ。」と感心させられる「工夫」を発見できるはずですから。

 

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